アクトレス・ばあば

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(4) 彼女が認知症と診断されたのは数年前のことだ。彼女の息子であり、私の旦那である彼は、「施設に預ければいい」と早い段階から言っていた。「そっちの方がお互いにいい」と。だけど、私は納得いかなかった。 それって本当にいいことなんだろうか……? ずっと疑問を抱えていた。 そんなある日。洗濯物を畳んでいる私に、彼女はぽつりと言ったのだ。 「やっぱり家が一番だわ」 ついでに、あくびもひとつしていた。 それは紛れもなく本人の意志。 私はこの言葉で決心したのだ。
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