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掃除と洗濯。
「河野の名前って何て読むの?
ノブオ? シノブ?」
「えっ? 」
「えってさぁ どっちも読めていいなぁって
思ってさ。
僕なんかせいぜい『みつき』か『みづき』か
しか言われなくてさ。」
「初めて……何て読むか聞かれた。
『シノブ』だよ。
知ってるのなんて身内だけだもん。」
「アダ名は『ノブ』?」
「そっ それしか呼ばれない。
楠木は?」
「アダ名? ん~ないかな?」
「美月って呼んでもいい?
スゴくキレイだから呼ばないと勿体無い。」
「何それ。でもノブに呼ばれるのイヤじゃないよ。」
「そっか。ありがとな。
美月、お前今日どうする?
制服ないんじゃないか?」
「ん~。
一度ウチに取りに行かなきゃなんだけど……。」
「行き辛いのか?」
「何となく?」
「一緒に行こうか?」
「ノブいいの? 僕、嬉しいよ。」
「じゃっ食器片付けて掃除と洗濯したら行くか?」
「うん。ノブありがと。」
洗濯機のスイッチを入れ、
ノブが食器を洗う。
僕が拭く。
ノブが掃除機をかけ、僕がモップをかけた。
2人で洗濯を干した。
家事をしただけなのに
楽しかった。
僕は会って間もないノブに
『ミキ』の武装もせずに話せている自分に
驚いた。
何よりノブと話している間
……郁弥のコト忘れてる自分がいた。
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