ミキ姫。

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ミキ姫。

コウとブランチを済ませ ゆっくりとスタジオに着いた。 ミキ姫を見かけた。 やっぱりキレイで可愛い。 今夜はステージに立ってくれるだろうか? あの甘く切ない声で 俺の気持ちを揺らして欲しいと 思った。 『4's plus』のステージリハを見学し 控え室に向かった。 ミキ姫が誰かに抱き付いて …泣いている?… イクではなく ベーシストの駿さんだ。 よくは聞こえないけど 泣きじゃくりながら 駿さんに寄りかかり 髪を撫でてもらっていた。 あまりの衝撃に 目が離せなかった。 控え室の中から 駿さんが手招きをしている。 周りを見ても俺しかいない。 覗き込むと駿さんは もう一度手招きをした。 そっと控え室に入る。 「こいつ、泣いて眠っちゃったんだ。 俺、動けないから アソコのスマホ取って くれる?」 なるほど…… 俺は駿さんのスマホを取って手渡した。 誰かにミキ姫が寝てしまったコトを 伝えている。 俺はもう用無しだけど ミキ姫から目が離せなかった。 ……うなじにクッキリとした 歯型とキスマーク。 今朝、見かけた姫を思い出し 赤面してしまった。 「ありがとね。 イクと翔くんもう直ぐココに来るから…」 「はい」 答えても姫が可愛くて目が離せない。 「ミキの事、好き?」 「はい」 駿さんに聞かれ 素直に答えてしまった。 「スミマセン」 そう言って慌てて控え室から出た。 自分の顔が火照るのが分かった。 毛布を抱えて階段を降りてくる イクの姿を見て 奪いたい そう思ってしまった。 あの 涙は きっと コイツのせいだから……
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