キスマーク。

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キスマーク。

不安で 怖くて 淋しくて さっきまでステージに上がる 自信なんてなかった。 僕ってわかっていなくても 河野が見てくれてると思うと 頑張れる気がした。 『大丈夫だよ』って 頭を撫でて欲しい。 優しく笑って欲しい。 河野が見てるのは 『ミキ』だけど……。 今夜の衣装は ノースリーブの白いロングワンピース。 僕の色をイチから作りたくて 白にしてみた。 駿くんが衣装がシンプルだからと ジャラジャラとゴツいアクセサリーを 付けてくれた。 黒い編み上げブーツに黒いチョーカーは 外せないらしい。 「ミキ、この衣装だと がっつり歯型とキスマーク見えるよ?」 首筋も胸元も腕も 郁弥が降らせた花びらだらけだ。 「歯型もキスマークも今の僕だから このままでいい。」 駿くんに笑いかけた。 「美月、今夜は大丈夫そうだね?」 「うん。駿くん、ありがとう。」 駿くんとステージ裏に向かった。
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