楠木?

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楠木?

ファミレスを出て アパート近くのコンビニで コウと別れた。 お金は困らないくらい貰える。 いつ減額されるか分からないから 出来るだけ節約していた。 でも 今夜はちょっと贅沢したい気分だった。 ダッツの マカダミアナッツとクッキーアンドクリームで悩んだけど 思いきって 2個ともレジに持って行った。 姫を間近で見て抱き寄せてしまった。 姫の歌声を3曲も聴いてしまった。 なんて 贅沢で欲張りな夜だったんだろう。 アイスの入ったレジ袋を振り回しながら アパートに向かった。 何か白いモフっとしたのが 玄関の前にいる。 「だれ?」 声をかけてみたけど反応がない。 慌てて肩を掴んだ。 「……河野? おかえり…」 「楠木?」 「うん。 ゴメン来ちゃった。」 「中入れよ。お前、冷えてる。」 「ありがと……」 何だコイツ。 ものすごい華奢じゃん 鎖骨キレイだし…… えっ? キスマーク? 俺は無意識に 目の前にいる楠木を抱きしめた。 「お前、何かされなかったか? 身体、大丈夫か?」 「えっ?」 「……キスマークついてる… 襲われたのかと思って……」 楠木が泣き出した。 家に居られないくらい ツラい事があったのかもしれない こんなに冷え切って…… リビングのソファーに座らせて 毛布を持ってきて楠木を包んだ。 「待ってて」 一人にするのは不安だったけど 暖かい風呂に浸からせてやりたかったから 風呂場の蛇口を開けに行った。 楠木は泣きながら 震えていた。 風呂のお湯が溜まるまで待っていられないと 思った。 「楠木……風呂行こ?狭いけど。」 「河野……ひくよ……?」 俺は楠木の手を掴んで脱衣所へ連れて行った。
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