誰の子?

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誰の子?

俺は美月に手を引かれ リビングのソファに着いた。 どれだけ広いのか? 何だか落ち着かない。 「ココアでいい?」 美月の父さん?がトレーにカップを3つ乗せてきた。 「ありがと。父さん。」 2人で淹れたてのココアに口をつける。 義弥さんのココアは今まで飲んだコトがないくらい美味しくて、良い香りがした。 少し緊張が和らぐ気がした。 美月はイヤそうな顔はしないものの 気まずそうな表情だった。 ソレを察した美月の父さんが口を開いた。 「シノブ君。 美月と仲良くしてくれてありがとう。 美月ね人見知りがヒドくてね同じ歳の友達、作りたがらないんだ。 だから嬉しいよ。」 キレイなヒトの口からそんな言葉が出てきた。 「あの…美月のお父さん……俺、何て呼んだらいいですか? その……」 「あぁ ゴメンね。 おじさんでいいんだけど……紛らわしいか。 俺は義弥。名前で呼んでいいよ?」 「義弥さんて呼ばせてもらいますね?」 「うん。大丈夫だよ。」 キレイな義弥さんの笑顔にクラクラする。 美月は俯いたまま黙っている。 「美月?今日は前髪上げられたんだね? 可愛いよ。 父さんは美月の可愛い顔、いつもたくさん見てたいよ?」 義弥さんは本当に美月を愛おしそうに見つめて微笑んだ。 ……『聖母マリア』多分そんな笑顔なんだろう。 「今日、ミナ君は?」 「美波は仕事だよ。 会いたいよね? でもゴメンね。 明日まで帰ってこれないよ。」 「美月、『ミナ君』て?」 「ん。ミナ君も一緒に住んでるんだ。」 「美月? 話したい事あるんじゃないの?」 義弥さんの言葉に余計に俯いてしまった。 俺は美月の手をぎゅっと握った。 美月が俺の顔を見た。 「美月、大丈夫。 美月は大丈夫だよ?」 握った手を『恋人繋ぎ』に握り変えた。 「父さん……僕って……誰の子?」 美月の小さな小さな声が聞こえた。
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