共通点は、狼

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「悩んだのですが、困っていたのでSNSで見かけて参加する事にしました。」 木で出来たログハウスに入ったわたしの最初の言葉。 わたしを見つめる彼らは、小さな拍手をしながら迎え入れてくれた。 「来てくれて本当に嬉しいです!握手してもらってもいいですか?」 「は、はい。」 「ホント、こんな有名人に会えるなんてなぁー!なぁ、兄ちゃん!!」 「短い間ですが、よろしく。」 彼等は、三者三様の出迎えでわたしを迎え入れる。 「座ってください、今お茶いれますから!」 一番下の弟さんに導かれるまま椅子に座り、出されたミルクティーを一口啜る。 「まずは、自己紹介でも。私は、この三人の長男です。私達には、これと言って名前が付いていないので呼び方が困りますよね。」 長男さんは、少し頭を傾げたながら言葉を続けた。 「三匹の子豚の長男では長いですし…。普通に長男さんでいいですかね。」 「は、はい。」 「俺は、次男だ!」 二人目は、短い挨拶で終わった。 「あ、あの僕は三男です。何か困った事があったらいってください。」 三男さんは、優しそうな雰囲気。 「あ、わたしは、赤ずきんです。皆さん、赤ずきんちゃんとか呼んでくれます。狼攻略のいい案が浮かぶようによろしくお願いします。」 そう、わたしが参加したのは 『狼を攻略する方法を議論する合宿』 というものだった。 2、3日程度の合宿だったので少し抵抗があったのだけどおばあちゃんの為にも何かいい打開策があればと参加を決めた。 こうしてわたし達の奇妙な3日間の同居生活が始まった。
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