ホンモノ。

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ホンモノ。

目の前で優しい笑顔でオレを見るのは イク。 ずっと 逢いたくて 逢いたくて 逢いたくて。 でも目の前にホンモノがいると 言いたいコトバは 何も出てこない。 贅沢は言わない。 自分の気持ちは伝えちゃイケナイ。 だってイクに迷惑がかかるから。 「楠木~ そいつ誰? お前の友達?」 「違う。」 「何、頭触ってるんだよ? コッチ来いよ?」 友達じゃないと 違うと言われた事が悲しかった。 「おぅ~ 面倒クセェ、お前らが来いよ。」 イクがそう言うと4人がコッチにやって来た。 イクと同じ中学だったらしい。 「お前、何? イクにくっつきたいの?」 こういうヤツ苦手だ。 何も話したくない。 オレが黙りこんでいると 「なぁ イク。 こいつツマンナイじゃん?」 「ん?いいの。俺が気に入ったから。」 「え~っ ミキちゃんに妬かれちゃうよ?」 「ん?ミキ?大丈夫だよ。」 ミキちゃんの名前を久しぶりに聞いた。 イクの左手はミキちゃんのモノ。 イクの右手はオレのモノ。 そう思っているのは オレだけかもしれない。
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