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あの子は、そんな子だった。
《 《
「月依。」
店に入るなり機嫌の悪い声が飛んで来た。
「久しぶり。」
にっこりと笑って受け流す。
「お前に飲ませる酒は、ないぞ。」
「もう~いつまで根に持ってるのよ。」
コートを脱いでいつも通りにカウンターの端に座る。
「あれ~燵夜くんは?」
カウンター内を見るとあのアルバイトくんが見当たらない。
「今日は、休みだ。」
「あれ、残念。」
「なんだ。燵夜、目当てで来たのか?」
「妬けちゃう?」
「馬鹿。あんなガキと張り合う年だと思ってんのか?」
「残念。」
ニコニコしながら素っ気なく出された水を一口飲む。
「顔色悪いな。」
「何よ、みんなして!」
急に確信を突かれた気がしてついムキになってしまった。
「誰かにも言われたのか。」
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