◆6◆ 年下の男の子

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   「あの・・・怪我をされたのは?」 「あぁ、彼女です。」 「判りました。では、乗って下さい。」 「救急車まで・・・」 「いいから、乗って。怪我を診てもらわなきゃ。」 「判ったわ。じゃあ、ありがとうね。」 「いいえ。」  手を振って救急車に乗り込むのを見届ける。 「あの、同乗してくれませんか?」 「いま、上司が来るので。」 「判りました。」 「燵夜くん、〝上司〟って?」  ストレッチャーに横になりながら言う。 「マスターにメールした。すぐ来るよ。」 「ねぇ、なんか勘違いしてる?店主と客の関係よ。」 「俺より月依さんを知ってる人を呼んだだけです。」  そつなく返す。 「来ました。」 「悪い悪い。閉店準備に手こずって。」 「いいえ。病院へ付き添いお願いします。」 「判った。ありがとうな。」   
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