◇5◇ 失った世界の景色

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   「はい、失礼します。」  さっさと、オフィスを出る。席に戻るとみんなが顔を背ける。 「(ヤな感じ。)」  気にしていない素振りで席に戻った。  》 》  私は、なぜ同じ職場に(コダワ)っていたのか。  もしかしたら彼の傍にただ単純に居たかっただけかも知れない。やはり簡単に吹っ切れるほど単純な気持ちでは、なかったようだ。  あの頃バーにさえ行けなかった。マスターに全てを打ち明けたのが原因と言えた。  マスターのモットーは、〝酒は楽しく飲め〟だったからあの頃の精神状態では顔を出せない。  だからかも知れないあの子にかまったのは・・・  《 《  雪降るなか・・・0時を回る前に会社を久しぶりに退社したがタクシーも拾わずにフラフラと夜道を歩く。 「なんでこんなに降るのよ!雪のバカヤロー!!」  シラフで叫んでいるのは、オカシイ人だ。   
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