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しかし通行人は、居ないし叫ばずには要られない精神状態であった。
「あの・・・大丈夫ですか?」
「え・・・?」
通行人など居ないと思っていたところに声を掛けられて変な声が出てしまう。
「具合、悪いんですか?」
「えー・・・っと。」
続けざまに掛けられた言葉は、心配の言葉だったので〝オカシイ人〟とは思われていないようだった。むしろ気遣いの言葉だった。
「大丈夫、です。ご心配どうも・・・」
答えてゆっくりと振り向いた。
「よかったです。」
「(恥ずかしい。大人として・・・)」
声を掛けてくれたのは、バーのアルバイトくんだった。
「仕事終わり?」
「はい。こっちが帰り道なんです。」
「そう・・・遅くまで大変ね。」
「いいえ。深夜バイトの方が時給がいいので仕方ないです。」
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