◇5◇ 失った世界の景色

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   「月依さんですね。俺は、大学2年の村雨(ムラサメ)燵夜(タツヤ)です。」 「宜しくね、燵夜くん。」 「はい。」  やっと名前を知れて自分の名前も呼んでもらえて満足だった。 「(名前を教えただけでこんなに喜ぶなんて・・・)」  不思議な青年の空気に和んでしまう。 「そうだ!達也くん、お腹・・・空いていない?」 「突然ですね。」 「ふふ。お近付きの印にご飯でも食べようか。」  自分にいま(モット)も欠けている輝きを放つ青年の傍にもう少しだけ居たいと思った。 「どこに行くんですか?」 「屋台よ!」 「え・・・」 「もしかして、初めて?」 「はい・・・。」 「よしっ!じゃあ、屋台に向けて出発~」  青年の腕を掴み粉雪舞う中引っ張って歩き出す。 「えっ、ちょっと!月依さんっ!」   
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