◇5◇ 失った世界の景色

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   「いいから。」 「でもっ、自分で歩けますっ!」  腕を組まれ照れくさかった。 「だって、歩くんだからくっつかないと寒いでしょ。」  そんな青年の気持ちなど(ウト)くて気が付かなかった。  青年の容姿が綺麗でしかし服装は、防寒重視で色気も素っ気もない格好をしていた。 「寒がりですね。」 「おばさんだからねっ!」 「〝おばさん〟って、幾つですか?」 「燵夜くん~」  立ち止まり腕を引っ張る。 「君は、いい子だと思うけれど。今の質問は、頂けない・・・わっ!!」  急に立ち止まられて固まっている青年にデコピンを食らわせた。 「痛っ!!」 「軽いジョークなんだから受け流さないといい大人の男には、なれないわよ。」 「・・・。」 「判ったの?」 「年齢ネタは、ダメってことですね。判りました。」   
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