◇5◇ 失った世界の景色

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   「判れば宜しい。寒いから早く行くわよ。」  明らかに元気をなくした青年の腕を掴んで再び歩き出す。 「(失敗、した・・・)」  自分に掴まっている女性は、見下ろせる背丈が愛らしく瞳に映る。 「あっ、ほらほら。今日もやってる。」  しばらく歩くと喜々とした声がしてハッとした。 「月依さん・・・いま〝今日もやってた〟って言いました?」  赤提灯を見付け気になる言葉を訊き返す。 「え?」 「毎日やってるから誘ってくれたんじゃないんですか?」 「ああ。ゲンちゃんの屋台は、不定休なの。行きましょ。」  困惑する青年をグイグイ引っ張られてのれんをくぐる。 「ゲーンちゃん!」 「おや、月依ちゃん。久しぶりだなぁ。」 「うん。今日は、のれん下げていたのね。」  言葉を交わし椅子に座る。   
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