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 血圧を測る際に手を取られたのだが、強く握られて顔をしかめる。それを大袈裟だと、また眉をひそめる。  彼女は真や他の人間の前では、そんなそぶりは見せないので、大樹はどう対処していいか分からず困っていた。 「……何をしている」 「か、苅谷先生!?」  その時、低い声が割り込んで、真が不機嫌そのものの顔で部屋に入ってきた。しどろもどろで言い訳する彼女に、一言だけ告げる。 「廊下に出ろ、外で話をする。ここで話すと、大樹の負担になるからな」  そして問答無用で看護師を連れて出て行った。  しばらくして戻ってきた真は、大樹の頭を軽く撫でた。 「悪かったな、大樹。変な奴をつけた。慎重に選んだつもりだったんだがな、あの女が用意周到だった」 「あの……なんで?」 「お前が最近、憂鬱そうにするし、あの看護師を見ると目をそらすから、何かあったと思ってな。長い付き合いで信頼できる者に監視させていた。だが、今日、居合わせたのは偶然だ。面白そうな本を見つけたから、お土産だ」  そう言って、真は紙袋から小説を取り出した。  大樹の唯一の趣味は読書だ。スマホでも読むが、紙のほうが好きだ。 「ありがとう、真さん」  著者名を見て、最近人気のファンタジー作家だと気付いた。後で読もうと、ベッドの脇に置く。     
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