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八尋は、東がそう言うと、ため息をついて肩を落とした。
そしてがっかりした表情で話す出す。
「さっきの話の方が悲しいバラードみたいでよかったな。でも、まぁいい……」
気を取り直した八尋の顔は、いつもと同じ穏やかな笑顔だった。
八尋は言う。
「これからあなたと気が合いそうな人を紹介しますね」
東は両方の眉を上げ、八尋が何を言っているのかわかならない様子だ。
「これから部屋にやって来る人は、ニーチェの言葉で悩んでいる人物。きっと仲良くなれると思いますよ。ぼくから見ると彼はラスコーリニコフかな? では失礼」
そう言うと八尋は部屋を出ていった。
そして部屋には一人、拘束された東だけが残された。
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