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「お前それ誰にでも聞いてんのか? 気持ちわるっ! でもな、喜べ福富、こいつは本が大好物だ」
そう言われて、福富の無表情の口元が緩んだ。
こいつが六車か……。
復讐屋の話は聞いていたが……。
対面して福富は思う。
新庄からは、目の前にいるだけで恐ろしい威圧感のある男だと聞いていたが、どうも雰囲気が違うな。
その姿は、穏やかで、それでいて媚ている感じはなく、まるで英国紳士のように気品がある。
「六車くんと……戦うのか」
「うん? 知り合いだったのか?」
福富が聞くと、東は俯いて言う。
「いや、ちょっと、さっきふたりっきりの時に、本の話で盛り上がってね……」
「そういう事か……」
これは使えるかもしれない。
いや、甘いか、と福富が考えていると……。
「そろそろ始めようぜ」
桐野が待ちきれない様子だった。
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