第21話 強さとは

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「だから、金網の中はルールはないんだろ? それなら、これもありだ」 「てめぇがそう出るなら、こっちも……」 「おいおい桐野さん。金網の中は“なんでもあり”だろ? それが唯一のルールのはず。もしあんたが、それを破ったら賭けは無しだ。なにをされても金の場所は言わない」 桐野は、怒りのあまり震えていた。 心の中で、いつも、いつも、こうだとぶちキレる。 「親父……」 六車は桐野に声をかけ、頷く。 桐野は思う。 ……そうだ。 大丈夫、六車は無敵だ。 あいつが負けるはずがない。 大丈夫、大丈夫だ。 でも、もし、負けたら……いや、そん時は、マエガミも福富も殺せばいい。 金は時間をかければ見つかるさ。 桐野が落ち着こうと自分に言い聞かせていると……。 次の瞬間に福富は、最初に飲めと言われたビール瓶をポケットから取り出し、それを足で割ってマットにばらまく。 破片がリング内に飛び散り、福富は言う。 「桐野さん。ビールご馳走様でした」 冷静になろうとしていた桐野は、その挑発に激昂した。 おれがやったビールを……? どこからリングに上がる事を考えていたんだ。 ご馳走様だと、なめやがって。ちくしょぉ!!! 桐野は、そこら辺のものに八つ当たり、まるで子供のようにわめき散らす。 「福富ぃぃぃぃぃっ!!!」     
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