第21話 強さとは

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もはや桐野の頭は、怒りにより思考停止になっていた。 六車は裸足、福富は靴を履いている。 誰がどう見ても裸足では不利だ。 体格も、福富は身長189cm 体重78kgと東ほど六車に負けてない。 「ありゃ~、とんでもない事になりましたね。福富氏にいい様にされてるな」 九能はとぼけた声を出すと、八尋が興奮した様子で言う。 「想像もしなかった展開です。福富優一はやはり面白い」 「この流れだと、仕込んでいた携帯を使わないんじゃないでしょうか?」 「そうかもしれませんね。ぼくも、この先がわからなくなりましたよ。初めてだな、こんな事は」 八尋と九能が、推理ドラマでも見るような様子でハラハラと観戦していた。 一方、六車は頷いていたものの、足元の破片に動きが躊躇していた。 動くと必ず踏んでしまい、動作が鈍る。 そこを福富はヒット・アンド・アウェイ。 一発入れては下がるを繰り返していた。 六車は思う。 ……こいつも東もそうだが、おれの方が、技術も腕力も上なのにどうして思い通りにならないんだ。 今までこんな事はなかったのに……。 ここで六車が急に吼えた。 「おれの方が確実に強いのにっ!? なぜだ!?」 福富は攻撃を続けながら言った。 「試合なら、お前の方が強いよ」 「なら……なぜ!?」     
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