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そう……新庄が言っていた怪物がそこにいた。
それを見た九能の顔が険しくなる。
「復讐屋さんの様子が変わりましたね。大声を出したと思ったら、急に落ちつき始めてるなぁ。いつも通りに、ボーとっ余計な事を考えてそうな顔をしています」
「余計な事?」
九能の顔を見ながら聞く八尋。
「あれ? 八尋くんならご存知かと。彼はいつも考え事をしていて、集中力に欠けるところがあるように見えるんですよね」
「むしろ集中しているから考えるのでは? 人は小さい頃に、物事に取り組む時は、余計な事を考えないように教育されて育ちますが、それはそれで視野を狭める事でもあると思いますよ」
「そんなもんですかね。でも、考えないのって、当たり前すぎるのかもしれないなぁ。教育、洗脳? う~ん、余計な事を考えるのは、意外と難しそうですね」
あまり納得していない様子で返す九能。
「きっと六車くんは、学校ではなく本から知性を学んだから、余計な事を考えるんですよ」
落ち着きを取り戻した六車は、独特のかまえをした。
「わかった。お前は強い」
六車は前に出た。
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