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その質問に対して、福富は両腕を組んで、少しばかり考えてから返事をする。
「難しいですね。テロリストか……」
「じゃあマエガミは、ルソーではなく、太宰でもなく、チェ・ゲバラみたいなものか?」
「すいません、たぶん違うかな……うまく言えないのですが、やつと話していると妙な高揚感が出てきて……」
「なるほど高揚感か。扇動者という点なら革命家もありかもしれない」
「鳥居さんが言うには、海外でやつは救世主のマネ事をしていたらしいんです」
それをを聞いた橘は、口角をあげて話し出す。
「少しだけ、点が線になってきた。たぶん話の流れから推測すると、途上国の貧困層……日本で言う下流の連中を率いていたって事になるか。作戦能力や統率力ってのは努力で埋められるが、人を奮い立たせる事は才能と言っていい。なにか特別な資質が重要だ。きみもマエガミの影響によって教養を身につけたようなものだしな」
「やつにはそれがあると思います。ただ一定の人間にだけですが……」
福富の声のトーンが下がった。
それを見た橘は、カップに入った紅茶を一口飲んでから質問する。
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