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なにか……のんびりな人が男達を止める。
年上に見えるが、可愛らしい笑顔で、男達とおれに近づいて来る。
「緑川さん!!!」
「お疲れ様です。緑川さん」
男達は、その笑顔の男に深く頭を下げ、挨拶をした。
その様子に違和感を感じる。
「うっす~って、これまずいよ。今日は鳥居さんの式だし。あの人こういうの嫌いだったでしょ?」
緑川と呼ばれた人が、男達に微笑みながら言った。
どうやらこの場を治めてくれそうで助かった。
「たぶんこの人、こうなるのがわかってて来たと思うんだよね。それでこの対応は礼儀がないんじゃない?」
「でも、こいつは……。っく、こっちもこれ以上なめられたくないです」
男達は止められても、引き下がりそうにない。
だが、緑川と呼ばれた男は、笑顔のまま返す。
「なめてもらえばいいじゃん。気持ちいいかもよ。ははは」
その人は、あきらかに場にそぐわないふざけた姿勢を崩さなかった。
納得のいかない男達。
でも、次に放った言葉で男達は帰っていった。
「福富くんがこの人呼んでるから」
それを聞いたおれは、ただ驚いた。
福富……くんが、なんでおれのこと?
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