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むかしむかしあるところに、ちちおやのいないおんなのこがいました。
おんなのこは、まいにちははおやにたたかれ、しまいには、おんなのこをおいていなくなってしまいました。
そのあとは、しんせきのいえをたらいまわしにされて、どこのいえでも、がっこうでも、おんなのこはきらわれていました。
さいごはしせつにおくられて、そこでもきらわれていました。
そんなおんなのこのたのしみは、ひとりでてれびをみることでした。
あるひ、てれびがいったのです。
「いつかおうじさまがあらわれて、あなたをしあわせにしてくれます」
おんなのこはいいました。
「しあわせにしてくれるならなんでもする。あたしぜったい、おうじさまからはなれない」
寒い朝、荒川靖子は目が覚めた。
子どもの時に見た夢をみてなにか小っ恥ずかしい気分になる。
今日は土曜だから休日出勤……と言っても、彼女には休みがない。
だからいつもの出勤と同じだ。
誰にも強制されず、荒川自身が休まず仕事をしている。
これがあたしの生きる道、と思っているからだ。
こう見えて趣味はマンガとアニメ。
あとは料理。荒川の部屋はキャラクターグッズと料理器具で埋まっている。
「なんで、あんなガキの頃に見た夢を……」
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