第6話 幸福を守るため

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そう思いながら、仕事着のスーツに着替える。 福富の会社はみんな黒系のスーツ。 これは福富が決めたのではなく、荒川の趣味だ。 誰も反対しなかったのもあり(なぜか真奈美は喜んでいた) 特に社内規則ではないが、みんなこれを守っている。 今日は土曜なので、東が来ているはず。 福ちゃんはなんであんなのを……。 荒川は考える。 ……慣れてきたのもあるが、仕事は、まぁそこそこできている。 かといって特別できるわけでもない。 うちは全員エース……のはずだったが、まぁ、それは仕方がない。 それより気になるのが、東……あいつの目だ。 荒川は経験や勘で、目を見ればどんな人間か大体わかると自負している。 そんな彼女の見立てでは、東は死人。 普通の人間には、薄いか濃いかの違いがあっても、必ず色がある。 目に色がない人間は、死人だけ。生きている人間ではありえない。 判定不可能な人間を荒川は嫌った。 福富を変えた男。 荒川はそれだけでも気に入らない。 「ったく、なんなんだあのゲイ野郎は」 鏡を見ながら、独り言を言う荒川。 女性の初対面の印象はなかなか消せない。 「でも、福ちゃんのオーダーは絶対!!!」 荒川は、壁に貼ってあるアニメキャラのポスターに向かって、自分を納得させようと意気込む。     
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