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ふたりきりでの仕事も多いので自然と話すようになってはいたが、心許せる相手ではない。
福富に悪い事がなければいい……。
単なる勘ではあるが不安は常にある。
東は疫病神……。
そんな気がする荒川。
「あんな若作り30歳……考えるのヤメ。仕事仕事」
事務所に着いて、いつもどおり仕事。
今日は真奈美がいるからふたりきりじゃない。それだけでも荒川はずいぶんと気が楽だった。
「もうぉ~土曜も働くなんてトトロですよぉ~」
トホホだろ!? といつもの不思議ちゃん真奈美にツッコむ荒川。
トホホ……。
しょうもないセリフだが、真奈美が言うと場が明るくなる。
まぁ、トトロと間違えているが……。
「おはようございます。あれ!? 橘さん出なの?」
東が時間の10分前に来た。
真奈美が居て、驚いている東を見ながら、荒川は思う。
……こいつは必ず10分前に来る。
まるで機械だな。
はっ!? もしや福ちゃんの作ったサイボーグってオチじゃ?
……いや、それにしては機能がショボすぎ。
なに考えてんだあたし……仕事仕事。
その横で、未だに下の名前で呼ばない事に説教をしている真奈美がいた。
「どうして呼ばないんですか!? これはチーム内のコミュニケーション強化活動なんですよ。ちゃんと呼んでください!!! じゃないとお菓子もうあげませんよ」
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