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「まぁ、じじいになったらやめるよ。まだ定年じゃないしな。たまにはおれたち男にもカッコつけさせろ」
草薙はいつもこう言って、手伝う。
その言葉を聞いた東が話し出す。
「じじいなんて……。草薙さんには続けてもらわないと困りますよ」
「だから~なんでそうなんですか? 薙さんですよ!! そしてあたしの事は真奈美!!!」
真奈美のコミュニケーション強化活動を無視して、荒川は考える。
……東はまるで昔から知っているみたいな言い方をする時があり、どうしようもなく腹が立つ。
こいつには、こういうズケズケしたとこがある。
福ちゃんはこういうところが好きなのか? 気にいらねぇ。
前にもこんな事があった。
福富が何気なく東に質問した時だ。
「東は彼女いないのか?」
「福富くんはいないの? なんか昔はとっかえひっかえのイメージだったけど」
「……昔の話だ」
「まぁ、英雄は色を好むって言うしね」
荒川は、そんな事で普段は無表情の福富が笑うのが許せなかった。
だが実際に、東が来てから福富は笑う事が増えた。
その時のやりとりを見た荒川は思う。
……こんなゴマすりみたいなセリフで笑うのかよ。
東なんて、ただ顔が整っていて不器用に見せているスネ夫じゃねぇか、なにがいいんだこんなの?
あたしから見ればスネ……いや、お世辞を言う屍だ。
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