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「恋人って男? それとも女?」
「素敵な人なら性別は……」
「……あんたやっぱバイだったんだ」
「もうっ!! 別にいいでしょ!!! そんなに意地悪するなら、あの夜の事を社長に言いますよ」
「悪かった、福ちゃんには絶対言うなよ……」
前に真奈美とふたりで泥のように飲んだ時、勢いで事務所のソファで……思い出すのも……いや、でも、女となら浮気じゃないだろ?
一人、顔を歪ませて考える荒川。
真奈美はイルミネーションを見ながら続ける。
「はぁ、やっぱりいいなぁ。ねぇ荒川さんもそう思うでしょ?」
「別に」
「えぇ!? どうしてですか? 好きな人と素敵な場所で過ごすなんて、絶対幸せですよ」
「好きな人とだったら、地獄でもあたしは幸せだ」
「キャ~!!! 荒川さん素敵過ぎるぅぅぅ~」
真奈美が、こっちを煽る変なポーズを決めたので、荒川も合わせて、腰に手をあてたキメポーズをしていると……。
「なにしてんの?」
戻ってきた東が、不思議そうな顔でふたりを見ていた。
荒川はその顔がムカついたので、軽く引っ叩く。
叩かれた東は、さらに不思議そうな顔をする
その時に見た東の目は、透き通っていて気味が悪いと荒川は感じた。
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