第7話 同期の桜

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福富、新庄、東の三人は、都内から埼玉に車で移動していた。 今日は本社で会長就任の集まりがある。なぜおれが行くんだろ? と東は思う。 福富と新庄は、かなりリラックスした様子で話している。 どうやら埼玉は地元みたいで、昔話をしていた。 「ふたりは中学生からの付き合いでしたっけ?」 後部座席から東が聞く。 昔話によれば、福富も新庄も友達がいなかったと言う。 福富は、学校内の悪いグループとよく揉めていたそうだ。 基本はひとり対3~4人で、それぐらいなら負けなかったらしい。 新庄がすごいと思ったのは、屋上で横になっている時に、校舎裏で10人近い相手に金属バットで全員を返り討ちにしたのを見た時だった。 「優一は無双だったよ」 新庄は言った。 その後に、20人近い相手が報復に現れた。 学校の先生も怖がってなにもしなかったが、新庄だけが助けに入ったそうで、それから仲良くなったらしい。 結果は、ふたりとも身体中の骨を折られる重傷だった。 優等生の新庄がやられた事で学校側も看過できず、警察まで動く大変な事件になったそうだ。 「頭の悪いやつらだったが、今思えば新庄とおれより優秀だったかもな。数の暴力ってやつだ」     
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