第7話 同期の桜

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「最初にその言葉を使った人物を、昔に授業で聞いたな。たしかジョン……なんだっけ?」 運転しながら聞く新庄に、福富が答える。 「ジョン・アダムズだ」 東はそれを聞いて思う。 ……誰だ。 まったくわからないよ。 東は会話についていけなかった。 中卒にして猛勉強の末に社長になった男と、一流大学を卒業した男。 東は自分の学のなさを痛感していた。 東が新庄に話しかける。 「新庄さんもそういうの詳しいんですね。すごいなぁ」 「優一ほどじゃないよ。ただ授業でやっただけだから、そんな褒められるものじゃない。テストに出るものしか勉強してなかったしね」 前に聞いた荒川の話では、新庄は福富とは違うタイプのすごい男だったそうだ。 学生時代の成績は県内でトップクラス。 スポーツも万能で、インターハイに出る選手より体育の成績結果がよかったそうだ。 しかし本人は家庭の事情で部活はやらず、年齢を隠してアルバイトと勉強の日々。 そんな苦労人で将来が約束されている男だった。 荒川は新庄が福富のところに来た理由は知らないそうだが、聞かれたくない事もあるだろうと思い聞かなかったそうだ。 一流大学出のエリート……本人は自慢しないし、飄々していてわかりづらいけど、あいつは使える男だ。 荒川はそう言っていた。 「次はみんなで来るか?」     
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