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さっきと打って変わり、とてもチャーミングな笑顔を見せて千草は去っていった。
その切り替えの早さに、できる女という感がある。
……キツい目つきの美人系なのに優しい人だったな。
福富くんが憧れるのもわかる。
東はそう思った。
その横で、なにも言われなかった海老原と言う男が不服そうにしていた。
「久しぶりだな、海老原」
「福よぉ、なんでおまえ和久井部長とあんなに仲良いわけ?」
不満げに言う海老原。
福富は、特に気にせずに言う。
「昔、鳥居さんとの関係もあって、よくしてもらっていたからな。それより相変わらずだな。千草さんが冷たいのもわかる」
「同期に酷い言い草だな。おまえ……昔は面白い奴だったのによぉ。はぁ、おれに優しいのはミドちゃんくらいなもんだよ」
「ミドちゃんって、もしかして緑川さんの事ですか!?」
東が反応した。
「あん? おい福。誰これ?」
「うちの新人だ。本社を見せておきたくてな」
「使えんのかこんなの? まぁ、おまえのとこは変人ばっかだからな。しかもあの人数でよく仕事回せるよ」
「おまえの方は忙しいか?」
ふたりが話していると、そこに気の抜けた明るい声が聞こえてきた。
「やっほ~みんなぁ~」
「緑川くん、久しぶり」
福富が挨拶すると、海老原が愚痴を言い出す。
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