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この国はなにでできているんだ?
善か、それとも悪か?
善は悪より強いか?
悪は善より強いか?
どちらがどちらにも飲み込まれる……。
おれの父親は子どもの頃に死んだ。
日本人だった。
父が死んだ後に母親に突然知らない国に連れてこられ、知らない人を父と紹介され、知らない言葉を話す人間が家族になった。
死んだ本当の父親の事はあまり覚えていない。
ただ、教えてもらった事は覚えている。
武術だ。
死んだ父親は坊主だった。
なぜ小さいおれにそんなものを教えたのか?
しかしこの国で暮らすようになってからは何よりも役立っている。
幼少期の思い出はニューデリーで身体を鍛えていた事だけ……それだけだ。
日本に住んでから、新しい父は母を毎日のように殴りつけた。
だからおれはそいつを殺した。
母は少年院に一度も面会に来なかった。
仕方がないと思う反面、ひどく寂しかったが……。
出所後、母を探した。
会う気はなかったが、顔だけでも見たかったのだ。
探しあてた時、母は新しい男と新しい子ども……家族を作っていた。
それを見たおれは、母の新しい家族を全員殺した。
それから荒れた生活をしている中で暴力団と揉めてさらわれた時、おれはある人に助けられる。
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