第9話 怪物

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まともじゃないよな、この女……。 「どうやら集中しすぎたみたいだ」 「しっかりしてよね。拓ちゃんが頼りにしてるのは、六車くんだけなんだから」 「……あぁ」 目の前には、全裸でイスに拘束されている男がいる。 「な、なにをするんだ!?」 男はとっくにわかっているはずの答えを訊いてくる。 今までの奴もそう、だいたいこのパターンだ。自分がやったお楽しみが悲劇になって返ってくる。 まずは喋る気を失くすまで殴り続ける。 もちろん血が大量に出ても終わらない。 目的はあくまで余計な事を言わせなくする事だからだ。 この後は客によるところもあるが、今回は薬を打ち、ペニスを立たせる(たまに、こんな状況でも立っている奴がいるから不思議だ)。 それから箱型の器具を股間にセットする。 これは桐野の親父がアジア経由で手に入れたもので、スライド式の刃がペニスを切断する。 この時点で大抵の客は自分の頼んだ事に恐怖する。 下半身の拷問は出血にさえ気を付ければ、命に関わらないところが残酷だ。 まぁ気にせず箱をはずし、ちがう薬を打つ。 次は睾丸の摘出だ。 手術道具を準備し、メスと鉗子を使う。 われながらずいぶん慣れたものだ。     
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