第10話 敗北後

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「……男ってのは、どこか独りよがりとこがあるからな……よし!! 今日は飲むぞ。おれのおごりだ」 「すいません終電って何時かわかりますか?」 「自分の携帯で見ろよ」 草薙にそう言われ、東は申し訳なさそうに返す。 「……携帯……持ち歩いてないんです」 「もしかして、おまえさんのおれのせいってそれか……」 それを聞いて、草薙は呆れた。 ふたりが飲んでいる近くの店で、桐野拓也と七瀬彩も飲んでいた。 「ねぇねぇ、こないだ六車くんの仕事見ちゃった。ヤバイ、ヤバすぎ!!! また見たいんだけど、よいかなよいかな?」 「あぁ、いいよ。六車の邪魔しなきゃな」 「やった!!! ありがとう!!! あっ!? そういえば、あたし拓ちゃんに言わなきゃいけない事あった」 「なんだよ、ガキでもできたのか?」 桐野がヘラヘラと笑いながら聞いた。 「ちがうちがうよ!! 最近ね、ここらのキャバ店全域で、変な噂が広まっているの」 七瀬は手を大きく振って否定すると、神妙な面持ちで話し出した。 桐野もその様子を見て、真剣に聞き出す。 「噂? どんなのだよ」 「拓ちゃんが素人に負けたって、酷いよね、嘘の情報流すなんて」 「……マジか」 「拓ちゃん!?」 桐野は、七瀬の話を聞いて急に考え込み始めた。 ……もうすぐ自分の組を立ち上げる時に、こんな噂が……。     
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