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「……男ってのは、どこか独りよがりとこがあるからな……よし!! 今日は飲むぞ。おれのおごりだ」
「すいません終電って何時かわかりますか?」
「自分の携帯で見ろよ」
草薙にそう言われ、東は申し訳なさそうに返す。
「……携帯……持ち歩いてないんです」
「もしかして、おまえさんのおれのせいってそれか……」
それを聞いて、草薙は呆れた。
ふたりが飲んでいる近くの店で、桐野拓也と七瀬彩も飲んでいた。
「ねぇねぇ、こないだ六車くんの仕事見ちゃった。ヤバイ、ヤバすぎ!!! また見たいんだけど、よいかなよいかな?」
「あぁ、いいよ。六車の邪魔しなきゃな」
「やった!!! ありがとう!!! あっ!? そういえば、あたし拓ちゃんに言わなきゃいけない事あった」
「なんだよ、ガキでもできたのか?」
桐野がヘラヘラと笑いながら聞いた。
「ちがうちがうよ!! 最近ね、ここらのキャバ店全域で、変な噂が広まっているの」
七瀬は手を大きく振って否定すると、神妙な面持ちで話し出した。
桐野もその様子を見て、真剣に聞き出す。
「噂? どんなのだよ」
「拓ちゃんが素人に負けたって、酷いよね、嘘の情報流すなんて」
「……マジか」
「拓ちゃん!?」
桐野は、七瀬の話を聞いて急に考え込み始めた。
……もうすぐ自分の組を立ち上げる時に、こんな噂が……。
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