第4話 啓蒙

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「私は毎朝起きる時、世界を変えようという思いと、人生を思う存分楽しまなくちゃという思いを同時に抱えてしまう。時々、このせいで一日をどう過ごすべきなのか判断するのが難しくなってしまう」 「前に教えてくれた話ですね。たしか……E.B.ホワイト。シリアスな文章でもクスクスと笑わせてくれる作家だった。あの感覚好きだな」 「いいですよね。僕も彼のようなユーモアのある啓蒙がしたいなぁ」 「啓蒙ですか?」 「ええ。もう少し教養のある人たちが増えれば、退屈しなくてすむと思うのです」 その後八尋は、散々悩んでサーロインステーキをもう一枚食べた。
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