第5話 喰い物

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……母親が質の悪い連中にあたしを売った時、「おまえが望むならこの状況は変わる」と言って助けてくれた。 目の前の状況を変えれるのは、自分の意志だけだと教えてくれた人だから……。 急に立ち止まった福富は、荒川に聞く。 「昼食にするか?」 「いいね。知り合いに聞いた店で、うまいビーフカレー出すとこあんだよ」 嬉しそうに言う荒川。 しかし、福富はその案を流す。 「あ、そう。中華にするか?」 「なにそれ? ひどっ」 「なんだカレーがいいのか?」 聞かれた荒川は、適当に頷く。 「へいへい。中華でいいよ」 「返事は……」 「へ~い。ははは」 福富とのいつものやりとりをして、つい笑ってしまった荒川。 荒川は思う。 ……あたしはいま幸せだ。 ずっと、ずっとこれが続くといいな。
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