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夢
昔、昔の夢を見た。
私は男に手を引かれている夢だった。
確か私は道に迷ったのだ。母の手から逸れた私は飲み屋街に迷い込んでしまった。古い街並みだった。戸は木枠にガラスで、風が吹けばガタガタと音を立てそうな感じだった。
まだ夜ではなく、多分朝ぐらいだった。
母と逸れる前はこんな街にいなかったと思ったのに、小さいながらもこんなことを考えていた気がする。
曲がっても曲がっても同じような店が続く。いや、この時はもう気づいていた。ずっと同じ店が並んでいる。
「君はここの子じゃないでしょ?」
後ろから知らない声が聞こえた。私は振り向いた、そこには宝石のような目をした男が立っていた。
「迷子だね?」
私はコクリと頷いた。
その後のことは、安心したのかあまり覚えていない。
手を引かれて、飲み屋街を歩いた。左右右左…暗号を解く様に進んで行く。今思えば、正しい道を進まないと出られない迷路みたいなものだったと理解した。どんどん街並みは変わっていく。そして見慣れた道に出た。
繋いでいた手がスッと離れた。
「ここまでだよ。」
そして、目が覚める。
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