0人が本棚に入れています
本棚に追加
「君ねー、いつも言葉が酷いよー!」
そう店主は言った。
「君はあの時の子だろ?あの複雑怪奇な街で迷子だった子…」
私はやっと思い出した、あの時の男だと。
「大きくなったね、改めてようこそ!ここは古い宝石店だよ、ゆっくり見ていってくれたまえ…」
古臭い喋り方だった。
「あの時は、どうも…」
私は少し照れくさかった。この男に会ったということは、これは迷子なのだと理解した。
「知ってるかい?宝石には魔力が溜まるのだよ。もちろん、自然にではなく手を加えるんだけどね…それをするのが僕たちの仕事なのさ。そこの小汚い男もね!」
「小汚いとはなんだ!そういうお前は“もやし”だろ!」
はいはいと手のひらを翻して店主は話を続けた。
「だからね、人以外のものは人界には居てはならない理りなんだよ。ここは、異界…までとはいかないが、その狭間、人を超え、人になり損ねた者たちの住む世界だ。そうして、それが僕たち。」
店主は微笑んでいた。
「結論、お前はここに居てはならないということだ」
後ろで男が言った。しかし店主は、
「そんなことはないさ!この世界にも人はいる、ここは人界よりもいいところさ。」
だから、ここに居てもいいと。
「ここに居てもいいんだよ?…辛いんだよね?」
最初のコメントを投稿しよう!