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拘束期間は一年。その期間の間、被験者達は夢の中で他人の死に触れ続け、自らも極限状態に神経を削ることとなる。
現実に戻る方法は、夢の中で自らが死を迎えるのみ。だが夢での死亡と共に現実に意識が戻っても、被験者は契約のまま再び悪夢へと戻される。
繰り返す悪夢に精神に異常をきたした者、あるいは契約違反で報酬が未払いになることも厭わず、自らリタイアを申し出た者は実験から退くことができるが、それ以外の被験者達は契約の期間が終わるまで、繰り返される悪夢に苛まれるのみだ。
その被験者達の中で唯一、半年以上目を覚ますことなく眠り続ける、最強の運の持ち主梶川達哉。
強運すぎるが故に、僅かに現実に返る数瞬の安息も得ることができぬまま、彼は今も、最悪の事態に陥らなければ目覚めることもできぬ悪夢の中でうなされ続けるのだった。
ビジネスホテルの悪い夢…完
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