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「なるほど。柊シリーズの原子野戦部隊駆逐タイプか」
つまり、核兵器が飛び交う戦場でなおも白兵戦を続ける部隊がある。それを始末するために開発された最終戦士こそが、彼なのである。
「そうだよ。お前たちメタルノーツが人類の後釜を狙う。その日のために生まれてきたんだよ」
柊はそういうと、抑止の力を解放した。半透明の壁が椿をすっぽり覆う。すると金属の枷が四散した。
「おにいちゃん!」
「椿、君はそこにいろ!」
少年が椿を制止した。その隙をついて、隊長が跳躍する。びゅんと鞭のように身体をゆがめ、柊めがけてなだれ落ちる。
しかし、乳白色の盾が金属流を受け止めた。
「ふん、防御できても攻撃は出来まい」
鈍色の濁流に柊が溺れる。あっという間に首から下がブロンズ像と化した。
「アンドロイドだのガイノイドだの、男だの女だの、そういう制約は進化の足枷になるのだよ」
窓や扉、ありとあらゆる進入路からメタルノーツが押し寄せ、直径五メートルほどの人面像が完成した。そいつが哄笑する。
「アリス・ハイマンの研究はAIが発展させ、『集合知の分散』に落ち着いた。つまり、記憶媒体としての人類だ」
「常温超電導金属がネットを踏み台にして人間の記憶を吸収する危険性は取沙汰されていた」
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