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柊は物怖じせず、メタルノーツの総体と対話した。
「精一杯の対抗手段がお前だ。何というショボさ。少年漫画のような根性論や人類規模の請願で奇跡を実現できると信じているのか? 現実を見ろ!」
兄妹の脳裏に銀色の地球儀が浮かび上がる。海だった場所はわずかに青色を残すのみで地表はピカピカになっている。
「僕には椿がいる。命に代えても護って見せる」
「最大の攻撃は防御ではない!」
メタルノーツは椿の頭上になだれ落ちた。ミシミシと防御壁にヒビが入る。
「お兄ちゃん!」
不安を募らせる椿。
メタルノーツは金属の身体を触手のように変形させ、抑止力の隙間を狙う。
「いやあ、お兄ちゃん!」
椿はスカートの裾を挟んだまま両脚を閉じる。
「くっ??!」
柊は口をへの字に曲げた。その表情は険しく、決意の固さを代弁している。彼は覚悟を決めたようだ。
「さっさと答えろ。お前は何を隠している?!」
「……」
バリンと何かが割れた。触手が防護壁を突き破って、椿に迫っている。
「椿こそが決戦兵器。そうなのだな?」
「……」
メタルノーツが問い詰めるたびに椿と触手の距離が縮む。
ついに防御壁が砕け散った。ふわりと椿のドレスが揺れる。
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