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「当ててやろう。椿の花言葉は『高潔』『冷酷な美』。その象意じたいが武器となるのだ!」
ヒュンと先端がドレスを撫でる。深紅のつぼみから純白のビキニが開花した。
椿の三白眼が輝きを増し、彼女の周囲に後光がさす。
「脆い、あまりに脆い! そのような刃(やいば)など、全球規模の包容力に勝る筈がない」
メタルノーツは惑星級の情報媒体である。スピリチュアルパワーだのサイキックだの、非物理的な力をどんなに束ねようとも、それを受け止める余裕がある。
だが、その慢心が致命傷となった。
「さようなら、椿」
何を思ったか、柊がメタルノーツの顔面に突進した。
「おにいちゃん?!」
柊がずぶずぶと金属に沈んでいく。
「なっ?! ぐわっ??」
メタルノーツの顔色が変化した。赤紫や黄緑色の縞模様が浮かんでは消える。
「柊、貴様ッ、何をした?」
「『ライプニッツの根拠律』だよ」
「何言ってんだこいつ」
「メタルノーツ。お前は男とか女とか言う非効率な配偶を無くして、単性生命体を目指したんだよね?」
「当たり前だ。宇宙の万物はすべて情報で記述できる。突き詰めれば繁殖はデータのコピーに還元できる。コピペにオスもメスもないだろう」
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