椿と楓の兄妹最終戦争

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「AIが大多数の頭脳を代替するの。第一次産業革命が興っても出生率は下がらなかった。むしろ、あがった。頭脳労働者を駆逐できなかったから」 アリスはAI犯人説を主張し、諮問委員会に大胆な提案をした。 子育ての娯楽化である。 中毒性の高い嗜好品としての育児を体験できれば、人々は依存症を患う。 もちろん、そんな提案は非難を浴び、アリスは表舞台から消えた。しかし、次から次へと繰り出した人口政策がすべて不発に終わると、彼女は三顧の礼で迎えられた。 「あたしが言ったとおりになったでしょ」 彼女はそういうと自身が経営するベンチャーキャピタルを人口政策に組み込ませた。もともとは彼女が糊口をしのぐために設立した企業であったが、返り咲く日を信じて画期的な人造人間の開発をひそかに行っていた。 それが精巧少女~イミテーションガール・シリーズだ。特殊な趣向の需要に応じる技術は古来からあった。それを人造人間の域にまで進化させた。精巧少女はカスタマイズすれば愛らしい少年を演じることもできる。 それと拡張現実やホログラフィと連動させて、生き生きとした子供に生まれ変わった。 「そんなに巧くいくものか。しょせんは血の通わぬ金属とシリコンの塊だ」 学習する意欲の乏しい保守派が糾弾した。アリスは精巧少女の運用をすべてAIに任せることで逆風を退けた。     
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