椿と楓の兄妹最終戦争

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リーダーがグループに声をかけた。 赤十字をつけたトラックは原型をとどめないほど破壊され、路上に火達磨がいくつも転がっている。 「生身の女子供です。柊シリーズはいません」 「どこへ隠れやがった!」 リーダーは報告を聞き終えるまもなく、飴のように膨張した。細長い弧を描いてビルの向こうに消えた。 「撤収するぞ!」 トラックの周りにいた金属体も同じように行方をくらました。 湖水を見下ろす斜面の洋館からすすり泣きが聞こえる。カーテンを閉め切ったリビングにポニーテールの少女がうずくまっていた。 「どうすればいいの? わたし」 「死ねばいいの? ダメなの?」 深紅のドレスを涙滴がポツポツと濡らす。彼女は自問自答しては虚空をあおぎ、泣き止むといった動作を6時間も繰り返していた。 「ねぇ……ねぇ……お兄様」 悲しみに暮れる少女。遠目にはごまかせても、近寄ってみれば不気味の谷が立ちはだかる。 「ああ、椿は生きていてもいいのですか? お兄様」 椿シリーズの最終ロットはまだ見ぬ姉妹品を待ち望み、途方に暮れた。 彼女はガイノイド??女性型人造人間の決定版として世に出た。その愛くるしいまなざしは、ひとにらみで機械化歩兵師団の進軍を停めると言われるほどに優しい。 「ねぇ」     
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