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当該機番の欠点を強いてあげるとすれば、その消極性だ。寄り添う人がいなければ、自律できない。自立でなく、自律だ。感情が不安定で神経症に陥る。
彼女にはとうぜん、頼れる人がいた。
避難勧告が出るまでは。屋敷の住人は村はずれで処分された。
拠り所を失った彼女は生存本能を起動した。
見たこともない兄妹。ヒイラギ。
無意識のうちに探索を開始したやさき、所有者一家の死を知った。危険を察知したセンサーがパッシブモードに切り替わる。
「ねぇ。お兄様。どこにいらっしゃるの?」
彼女は疲れを知らない。食事も必要ない。ただ、涙腺が枯渇を訴えている。
「ほう? 能動的な機体がいるとはな?!」
掃討部隊のリーダーは森の奥で予期せぬ出会いを果たした。
緑色の学生服に半ズボン。そんな軽装の少年がたった一人で戦いを挑んでいる。
「拍子抜けするほど未熟じゃないぞ」
リーダーは丸腰の相手に対戦車ミサイルをお見舞いした。ネットワーク戦術にのっとり、部下たちも自動的に連射する。
少年のいた場所が紅蓮の炎に包まれる。
「なに?」
黒煙が晴れると蛍光の檻があらわれた。その中心で少年が微笑んでいる。
「抑止です。隊長、奴は抑止を付与されています」
副隊長らしき男が少年の特異能力を説明した。
「拠点防御タイプか。愛玩用の癖に物騒だな」
「隊長。特注品です。おそらく小児性愛者の用心棒かと」
「なるほどな」
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