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リーダーは蔑むように言うと、部隊に新たな命令を発した。
「俺たちゃ警察(サツ)より強いんだぜ」
そういうやいなや、ありったけのミサイルを撃ち込んだ。土埃からエメラルドグリーンの格子が見え隠れする。
「そうこなくっちゃな……」
リーダーは感心する余裕を見せた。
だが、次の瞬間、彼は雷を落とした。
「なめ腐りやがって!」
文字通り、まばゆい稲妻が天を裂いた。
少年の周囲に閃光が巻き起こる。
「さすがに貴様でも飽和攻撃は抑止できまいて」
雲間をどす黒い影がいくつもよぎっていく。
「やばい。撤収しましょう」
副隊長が言い終えぬうちに落雷の第二波が来た。
掃討部隊はどろりと熔けて、地面に吸収された。
「こちらメタルノーツ空軍RG88師団。近接航空支援は完了した。ひきつづき、戦闘空中哨戒を行う」
「諒解。目標を発見次第破壊せよ。索敵の報告は要らない」
「RG88師団空中本営。諒解した」
磨き抜かれた翼に焼け焦げたクレーターが映える。
鳥も通わぬ高みから見下ろす世界は、緑と銀に色分けされていた。
「……えるかい? 椿」
悲しみの向こうから懐かしい呼び声がする。少女は泣くのをやめて、そっと耳を澄ました。
「おにい……ちゃん?」
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