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拒まれはしなかった。 それでも、心の中には入れなかった。 穂積は帰り道でそんなことを考えていた。 綿貫は人を受け容れる最大ラインを決めているようだった。ここまでは受け容れるけど、これ以上は入れないように。 「恋はおちるもの、か。」 自嘲するように、笑う。 恋をしたくないと望む彼に恋をしてしまった自分を。 彼の幸せを願いたいのに、自分も幸せになりたい。 そう願ってしまう、穂積自身を。 恋をしながら幸せになることは、できないのか。 答えが出ないまま、歩いてゆく。
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