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恋人と呼ばれる関係ではなくとも、穂積と綿貫は距離を縮めていった。
綿貫が今まで他者を入れることを許さなかった領域に、少しずつ穂積が入っていった。
「涼さん…僕、自分がわからないです。
涼さんに恋人ができて離れていったらって思うとすごく嫌なのに、自分が恋人になりたいわけじゃなくて…涼さんに、依存してるのかなって。」
綿貫がこんな風に自らの弱みを見せられるのも、穂積だけだった。
穂積はその言葉を受けて、少し問いかけをしてみることにした。
「怜、…僕とキスできる?」
簡単かつ、非情な問いかけだった。
生粋の日本人である綿貫なら、恋愛感情がない相手にキスすることはできない。そう考えての問いかけだった。
「…涼さん。目、閉じててください。」
暫くの沈黙の後、綿貫はそう言って穂積の頬に手を添えた。
言われるままに穂積が目を閉じると、唇に柔らかな温もりが触れた。
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