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思わず目を開けると、緊張で少し赤くなった綿貫の姿が目に入った。穂積は綿貫の後頭部を左手で支え、舌で唇を撫でる。
「…っ」
綿貫は息を呑んだが、そのままわずかに口を開き穂積の舌を受け容れた。ぬるりと粘膜どうしが触れ合う接触に、思わず身震いした。
穂積は右手を綿貫の背に回して、なだめるように優しく触れた。自分より少し低い体温を右手に感じていた。
ようやく2人が唇を離したとき、綿貫も無意識に両手を穂積の背にまわしており、自然と抱きしめあっている事実に気づいた。
「涼さん…あったかい」
穂積に身を寄せる姿は猫のようで。
綿貫がここまでキスを受け容れられるくらいなら、もうそれは恋愛感情を抱いているのではないか。
抱き寄せながら穂積がその気持ちを伝えると、綿貫は穂積の胸に顔を埋めながら言う。
「…認めたくなかっただけだと思います。恋をしないと誓ったのに、恋をしてしまった自分を。」
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