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「恋、という言葉にとらわれるからいけないのかもしれないね」 恋にもいろいろなものがある。自らを破滅に導く恋もあれば、自らをより高めることのできる恋もある。 何もかもを一概にいうことはできない。 そう思っての言葉だった。しかし、綿貫にはうまく伝わらなかったらしい。 綿貫の困惑が穂積にも伝わってきた。 「なんと言えばいいんだろう、怜が『恋』という言葉だけに囚われているように見える。恋だからいけない、恋はしてはいけない。だから僕との関係を拒んでいる」 そこで言葉を一旦切り、穂積はまた少し考えて喋り出した。 「例えば、お互いに抱いているものが肉親への愛情のようなものなら怜はこの関係を受け容れられる。どう?」 綿貫は少し悩む仕草を見せ、戸惑いながらも肯定した。その姿を見て、穂積は続ける。 「なら、そう思ってしまえばいいんじゃないか。さっきのようなキスを拒まれるとなると少し困るけど、そうじゃないし、怜がそういう風に考えて受け容れられるなら構わない。」
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